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質問対応で心がけていること
これまでも何度か書いているが、
生徒の学力向上において、生徒が積極的に質問できる(質問しようとする)環境をつくることが大切だと考えている。
しかし「質問しなさい」「いつでも質問できるよ」と伝えれば
生徒たちが質問に来るようになるかというと、そんな単純なことではない。
やはり生徒が質問に来るためのきっかけづくりや雰囲気づくりが大切だ。
そのきっかけづくりの一環として、生徒が質問に来てくれたときに私が心がけていることがいくつかある。
(1)質問に来てくれたことを褒める、認める
先生、いま質問しても良いですか。
お~、質問!良いね!どうぞ!
とくに慣れないうちはそうだが、生徒にとって質問することは多少の勇気を必要とするものだと思う。
「こんな簡単な問題を聞いても大丈夫かな。」「いま聞いたら迷惑かな。」と、
生徒たちは生徒たちなりにいろいろと気にしたり、気を遣ったりするものだ。
だからこそ、その一歩を自ら踏み出したことをまずはしっかりと認め、
生徒たちが気軽に声をかけやすいような雰囲気でいることを心がけている。
たとえば、しかめっ面の人に積極的に声をかけたいとは思わないだろう。
こちらが笑顔で、上機嫌でいることが大切だ。
欲を言えば、暇そうに見えるようにできたらベストだと思う。
(2)状況確認のために発問をする
・「はい、どうしたの?」
・「どこらへんがしっくり来ないの?」
・「どこが分からないの?」
・「問題文を読んでどんなことを考えた?」
・「問題文の意味は分かる?」
・「この問題は何を出せって言っているの?」
・「問題文に何が書いてある?」
・「まず何をしようか?」
まずは生徒が何につまずいているのかを確認する。
だいたい上記のような発問をする。前半のほうがよりファジーな質問、後半のほうがよりクリアな質問だ。
いくつか組み合わせることも多い。
生徒はこれらの問いに答えよう(言語化しよう)とすることで、
自分がつまずいている事柄をより明確に認識できるようになる。
(もちろん初めから明確に認識できているときもある。質問対応中のやりとりは、相手に正確に伝わるようにアウトプットをする絶好の機会でもある。たとえ時間がかかっても、生徒たちの口から思っていることを伝えてもらう機会は大切にしたい。そのための発問でもある。
(3)状況に合わせてヒント、方向性を示す
生徒の理解度や学力や問題の難易度にもよるが、基本的に私からヒントを出して、生徒が何かしらの気づきを得て、
解答を出すところは本人に自分でやり切ってもらうことが望ましいと考えている。
やはり自分の頭と手で答えを出すことが実力につながるし、本人の達成感にもつながる。その機会をこちらが奪わないようにしたい。
今の説明で分かった?じゃあもう一度、全体像を確認しようか。まずこの問題にはAとBがあるから、Cが出せるよね。Cが出せたらDが分かるね。Dが分かれば、これとEからFが出るよね。ここまでくれば、残りは自分で行けそう?
このような感じで解答の流れをレシピ化する(あるいは自分でレシピ化してもらう)。
ここまで説明したあとは自分で答えを出してもらいたいが、まだ不安そうな表情の場合もある。
生徒たちの中には具体的に目の前に数値や答えが出て実際に自分の目で確認しないと安心できない子もいる。
そういう子はその場で一緒に答えを出してもらって、解法が合っていることを自分の目で確認してもらう。
(4)本人の課題を伝える
こういうタイプの問題では、こういう作業が必要だね。自分で解いたとき、こういう作業をしようと思った?
考えていませんでした。
うん。そうしたら、これからこういう場面では、必ずこういう作業をしよう。頭の中だけでいきなり答えを出そうとしたり、式を立てようとしたりするとうまく行かないよ。
わかりました!
勉強を保護者の方や上の兄弟や友だちに教えてもらう、というのがある。
もちろん良いことだし必要な場面も多いと思うが、
質問対応の目的はただその問題の解き方を教える(解けるようにする)ことだけでない。
本人に足りないもの(課題)を明確にして、
その克服のための意識づけや具体的な練習メニューを伝えることも目的の一つだ。
たとえば分からない問題を友だちに聞いたとして、その問題の解き方は理解できるかもしれない。
しかし、「なぜその問題を解けなかったのか」「どういう視点、発想、作業、感覚があれば解けたのか」ということまで教えてくれる友だちはなかなかいないと思う。
また、「この問題の類題にはこういうものがある」「この問題がさらに発展するとこういう問題になる」などのような情報も、経験値のある人でないとなかなか伝えることができない。
だからこそ、分からないものはなるべく質問してもらいたいと思っている。
冒頭にも述べたが、質問対応は生徒たちの学力向上において非常に重要な要素だ。
これからも塾運営において大切にしたいにしたいことの一つである。