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講師もまた、生徒に育てられる
昔、まだ私が塾の先生になりたてだった頃。
それはそれはたくさんのクレームを生徒からいただいた。
「授業が分かりづらい」
「早口で何を言っているか分からない」
「なんか怖い」
当時の自分は自分なりに一生懸命やっていたのだろうが、講師としての技量も人間としての器量も足りなかったということだろう。
幸い、今では生徒から良い評価をしてもらえるが、自分はこういうところからスタートした。
一般的には「生徒が先生に教わる」と思われている。
表面上は確かにそうだが、実際はその逆だと私は思っている。
すなわち、教えるという行為を通じて「先生が生徒に教わる」と思っている。
正確に言うと「教える」という行為は「『教える』と『教わる』の相互作用」である。
たとえば生徒に教えていると、それまでは思いつかなかった分かりやすい説明がフッと降りてくるときがある。
またいろいろな生徒に教えることで、いろいろな性格や特徴に触れて、それに合わせられる「引き出し」を増やすことが出来る。
一方的に片方のみが教わるということは無いのだ。
生徒たちが不完全な存在であるのと同時に、講師も
また不完全な存在である。うまく教えられないときもあるだろうし、感情の制御がしきれないときもあろう。
講師も人間なので、生徒を指導する中でいろいろな気づきを得て、反省を繰り返し、少しずつ成長していくことができるのだ。
これから自分の塾でたくさんの生徒たちとともに勉強をしていくわけだが、
「自分が生徒たちに育ててもらっている」
ということは絶対に忘れたくない。