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【必見】「速さ」の指導法
先日、ある小学生の子に
最近、学校の算数はどこらへんを勉強してるの?
と聞いてみたら、
いま速さのところを勉強しています!
と返ってきた。unitでは、9月に速さの単元を実施した。
教えてから2、3ヶ月経つので、
もしかしたら、ちょっと忘れているかなぁ?
と思いつつ、
学校の速さの授業はどう?順調?
とたずねたら、
はい!簡単です!
と頼もしい返事が返ってきた。
速さは、算数の中でも苦手意識が出やすい単元だ。
「速さ=道のり÷時間」「道のり=速さ×時間」といった公式(?)を丸暗記して、数字を当てはめて計算することに終始する子は、
単位変換の問題やちょっと難易度の高い問題に出会った途端に手が止まってしまう傾向にある。
この子が学校の授業を簡単に感じられたのは単に塾で予習していたからではない。
この子は他の子以上に毎回の授業や宿題を非常に丁寧に行っている。
自分の手と頭を使って、時間をかけて試行錯誤と反復練習を積み重ねたことが実力に、そして自信に繋がっているに違いない。
「速さ」の指導で意識すべきこと
さて、私が速さの単元を指導するときに意識していることが三点ある。
① 速さの意味を考える
② ①から分かることを考える
③ 具体的なイメージを持たせる
例①
「時速40kmってどういう意味ですか?」・・・①
「1時間で40km進む速さ !」
「そうだね。ここからどんなことが分かる?」・・・②
「2時間で80km、3時間で120km進む!」
「オッケー。川越から120kmの距離って、どこらへん?東京まで行ける?」・・・③
例②
「3秒で15m進むんだって。ここからどんなことが分かる?」・・・②
「1秒で5m進む!」
「良いね。ということは秒速5mだね。秒速5mってどれくらいの速さ?きみたちが歩くスピードと比べてどう?」・・・③
こんな調子で、①~③のやりとりを繰り返し行う。
「速さ=道のり÷時間」という言葉は、とくに最初のほうは意図的に使わないようにしている。
指導者が安易に公式化してしまうことによって、生徒たちの公式当てはめ癖を助長する可能性があるからだ。
速さの概念が少しずつ彼らの中に定着してきた後になって初めて、
「きみたちがいま行っている計算を言葉にすると、こうなるよね。」という感じで確認する。
また、イメージをする上で線分図を利用する。線分図はとくに単位変換の問題で効果を発揮する。
こんな調子でスタートし、最低限のことだけ教えたあとはたっぷりと演習を行う。
演習中に一人ずつ会話のキャッチボールを行い、
意味を理解できているか、イメージができているかをこまめに確認する。
そして、少しずつ、さりげなくレベルを上げていく。
ある1人が別のもう一人と出会う旅人算や、
電車がトンネルや橋を通り過ぎる通過算など、
中学受験の基礎的なレベルの問題まで扱う(基礎的と言っても学校で学ぶことよりもかなり難易度が高い)。
塾であらかじめ難易度の高いレベルまで扱うことで、学校の授業が簡単に思えるようになってもらいたい。
また難易度の高いものに触れてもらうことによって、基礎を着実に身につけてもらいたい。
基礎レベルだけやっていても、本当の意味での基礎は身につかない。
そういう意図で授業を組み立てている。
塾の授業を自分のものにしていく過程は大変だと思うが、塾生たちは非常によく頑張ってくれていると思う。