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2024年度 夏期合宿実施報告【最高の合宿、最高の夏休みに】
Before the summer study camp①
2023年10月初旬。私と生田目は秩父にいた。
翌年の夏期合宿に使用する合宿所の下見である。
1棟貸し切りの宿泊施設で、お風呂場もリフォームしてあり、清潔感もあった。
私たちがイメージする合宿を行うことができると判断し、さっそく予約した。
12月の保護者会で、 保護者の方々に合宿の詳細をお見せできるよう、 費用設定、時間割、カリキュラムなどの事前準備を始めた。
費用設定にあたっては、いろいろな塾の合宿費用を調査し、その6割~7割くらいの費用になるよう設定した。
できるだけ多くの塾生に参加してもらうことを望んでいるからだ。
いろいろなイベントと並行して少しずつ準備を進めていた2024年5月。
「念のため、もう一度合宿所の下見に行っておこう」という話になり、改めて秩父の合宿所に向かった。
そこで細かい打ち合わせをしていたのだが、どうも雲行きが怪しい。
もともと確保できるという話だったはずの勉強スペースが、確保できなさそうというお話になった。
担当者の方もいろいろと手を尽くしてくださったが、想定外のこともあったようで、当初の予定から大きく変えざるを得なくなった。
代わりとなる勉強スペースがないか、いろいろな施設を調べて問い合わせてみた。
かろうじて許容範囲と思える場所はあったものの、私たちの理想とする学習環境とは言えなかった。
とはいえネットで調べても、良さそうな施設が簡単に見つかるはずもない。
「塾から無理なく移動できて、大人数で利用できて、当初の日程で予約が取れて、食事がある程度しっかりしていて、費用が高くなく、勉強に集中できて、清潔感のある場所」というのが私たちの条件だった。
大切な塾生たちが勉強する場所だから、決して妥協はしたくなかった。
諦めきれず、夜中にしつこく探していると、明け方頃に良さそうな施設を見つけることができた(←4年に1回出る塾長のファインプレー)。
さらに運の良いことに、授業で使用する部屋、宿泊部屋が、ちょうど参加する生徒をぎりぎり受け入れられる分だけ空いていた。
すぐに見学に行って施設を確認すると、思った以上に良かった。
こうして、当初の予定から1日だけずれてしまったが(申し訳ありません)、どうにかこうにか、新たに合宿所を確保することができた。
Before the summer study camp②
合宿の準備は多岐にわたる。
・タイムテーブル作成
・授業時間割作成
・合宿のパンフレット作成
・合宿のしおり作成
・合宿初日までの宿題作成(中学生全学年3教科分+解答作成)
・テキスト作成(中学生全学年3教科分+解答作成+印刷・製本)
・確認テスト作成(中学生全学年3教科分×3回分+解答作成)
・合宿ガイダンスの実施
・健康調査の実施
・施設の利用申し込み
・3日間の食事の手配
・閉会式兼打ち上げ会場の手配
大まかに思いついただけでもこれだけあった。
宿泊合宿は今回が初めてなので、一からつくるものがほとんどだった。
これ以外にも、参加した塾生たちの満足度を上げるために様々な工夫を考えていたので、そういった細々とした準備も入れると、私も生田目も合宿準備に相当の時間を費やした。
スタッフの力も借りながら、テスト対策や夏期講習の合間をぬって準備を進めた。
正直、体力的にはかなり大変だった。
5日間あったはずのお盆休みは、気づけばどこかへ雲散霧消した(毎年恒例?)。
しかしテキストやテスト作成といった重いタスクも、生徒たちの顔を思い浮かべれば、間違いなく楽しくやりがいのある仕事でしかなかった。
こうして、綱渡りの連続だったが、どうにかこうにか合宿の日を迎えることができた。
The first day
合宿の朝の天気は曇り。
徒歩での移動もあるので、快晴でなくてよかった。
移動の電車の中で、手に持ったプリントを凝視する生徒たちの姿がちらほら見られる。
冒頭に行われる確認テストに向けて勉強しているのだろう。
「学力に関係なく、地道に頑張ればある程度の結果を出せるもの」に対する取り組みは、とりわけ大切にしたい。
もちろん生徒たちにも大切にしてもらいたい。
こういうテストに向けてきちんと準備する姿勢があるかないかは、学力向上に大きく関わる。
開会式のあと、さっそく確認テストを始める。
教室が緊張感で満たされる。
生徒たちがテストを受け終わるとすぐに、スタッフで協力して採点、入力、集計を開始する。
そして授業が始まる。
普段と同じ生徒たちに、普段と同じ先生である私が授業をしているのだが、その空気感はやはり普段とは異なる。
どこか新鮮であり、もちろん真剣さもあり、わくわくする気持ちもあり、少し面映ゆくもある。
前職の合宿で、初対面の子たちに授業をしたときの感覚を思い出す。
初日の確認テストの点数に目を通す。
「おっ、この子はちゃんと勉強してテストに臨んだんだな。頑張っているな」と分かるものがたくさんある一方、「明らかに勉強不足だな」と分かるものもいくつかある。
午後の授業でそのことに言及する。
今回の合宿のように、目の前にあるイベントに対して全力で取り組めるかどうかは、君たちが成長していくうえでとても大切なことです。
「初日にテストをします」と事前にアナウンスされているにもかかわらず、そこに向けて全力で取り組めなかった人。厳しいことを言うけれど、少し勉強に対する感覚が鈍いよ。こういう一つ一つの機会に対して、敏感に反応できて、全力で取り組めるようになりなさい。
と話をする。
そしてあれよあれよと夕食、夜の授業、と過ぎていき、初日の勉強が終わる。
生徒たちには、2日目、3日目に備え、くれぐれも早く寝るように伝える。
夜中の見回りは若いスタッフたちに任せて、この日4時起きだった私は一足早く寝させてもらった(←体力無さすぎおじさん)。
あとで生田目に聞いたのだが、夜中に私が何度も寝言を言っていたようだ。
しかも結構な大きさの寝言。
その寝言の回数があまりにも多かったので、録音してメモを取っていたらしい(←早く寝なさいな笑)。
寝言の内容から、どうやら私は夢の中で授業をしていたらしい。
昼間に散々授業をしているのにまだ足りないというのか。
これでは「授業大好きおじさん」ではないか……。
生徒たちは翌朝、この話を聴いて大笑いしていた。
The second day
2日目の朝、生徒たちの起床時間は6:30。
2日目の朝も確認テストがあるので、7:00から各々の部屋で勉強する。
6:30に各部屋に見回りにいくと、すでに起きていて勉強を始めている子たちが何人かいる。
中1の女子たちも、朝から元気に勉強している。
今回の合宿の勉強をより充実させるために、チーム対抗テストバトルと称し、チーム対抗戦を行った。
普段、弊塾はテストの点数や順位などで生徒間に優劣や序列をつけること、あるいは意識無意識に関わらずそれを助長するようなことは慎んでいる。
勉強が得意な子も苦手な子も、それぞれが自分の目標に向かって全力で取り組むこと、自分の学力を向上させることそのものに価値を置いているからである。
しかし受験に他者との競争という側面があること、点数の多寡によって合格・不合格という結果が出ること、またそのようなプレッシャーと戦わなければならないことは紛れもない事実である。
だから、そのことを生徒たちにも伝え、合宿に関しては点数や順位といった数字で競う機会を設けた。
生徒たちはテスト結果を見ながら、点数が取れた喜びや、上位に入れた達成感、また同時に友だちに負けた悔しさなどを感じながら勉強していた。
テキストに関しては、合宿期間に身につけてもらいたいテーマを絞って、無理なくスモールステップで学べるように設計した。
一方でテストに関しては、速やかに、かつ正確に解き進めないと高得点が取れないものにした。
限られた時間で、プレッシャーと戦いながら、自分の実力を発揮する。
これは非常に難しいことだ。
スピード不足により最後まで解き終わらなかった生徒もたくさんいたし、時間が無いからとむやみに焦ったり、普段はしないミスを連発したりする生徒もたくさんいた。
やはり定期的に厳しい環境に自分の身を置かないと、自分の弱点や等身大の姿にはなかなか気づけない。
合宿のテストを通じて、生徒たちは「いまの自分」をよくよく見つめることができたと思う。
さて2日目も後半になると疲れが見えてくる。
授業の合間にうまくひと笑い入れたり、リフレッシュさせたり、励ましたりしながら、集中力を維持させつつ授業を進める。
ようやく2日目の授業が終わり、あとは消灯まで各自自由時間、というタイミングで、何人かの生徒から
分からないところを教えてください。
と言ってきた。
もちろんいいよ、ぜひやろう!
と伝え、宿泊部屋で延長戦が始まる。
同じタイミングで、私だけでなく他の先生のところにもいろんな生徒たちが質問に行っていたとあとから聞いた。
学ぶ意志を強く持ち、自ら進んで教えを乞う。
そういう生徒たちと一緒に勉強ができることの幸せを強く感じた瞬間だった。
The third day
最終日の朝。
2日目の朝には元気だった子たちもさすがに眠そうにしている。
しかし今日も7:00から勉強である。
3日目の総合確認テストが進む中、テストの手応えの無さに落ち込む子たちもいた。
昼食休憩のときもずっと落ち込んでいた。
普段から人一倍頑張っている子たちである。
だからこそ、その悔しさや自己嫌悪も人一倍強いのだろう。
でも私はそんな彼ら/彼女らを見て、とても嬉しく感じた。
勉強に限った話ではないが、ある物事に対して、これだけの気持ちで真剣に取り組めること、必死になれること、そのこと自体が素晴らしい。
悔しさを噛み締めている姿を見て、非常に良い資質を持っていると感じた。
このときの気持ちをバネに、これからさらに飛躍していくと思う。
実は合宿のもう一つのテーマとして、生徒間の交流促進があった。
合宿というせっかくの機会だから、今まであまり話したことの人に話しかけてみない?学校とか学年とか関係なく、新たな友だちや仲間をつくろうよ。こういう非日常だからこそできることだと思うよ。
という話をした。
コロナ禍の影響も大いにあると思うが、自分から相手との距離をつめるのが苦手な生徒が多いと感じる。
「受け身」の姿勢が目立ち、交友関係がなかなか広がっていかないなぁと常々感じている(一方で人のことをよく観察して、気遣いができる生徒はとても多いと思う)。
合宿では長い時間を一緒に過ごし、一緒に同じご飯を食べ、一緒に同じ部屋で寝る。
その中で、少しずつ交流ができてくる。
生徒たちは気づいていなかったが、初日と比べて2日目、最終日のほうが明らかに声も大きく、表情も豊かで、よく笑い、話し相手の幅も増えていた。
すべてのテストが終わり、生徒たちは束の間の自由時間。
外で遊んだり、体育館でバスケやドッジボールに興じたりする姿もあった。
そして場所を移しての閉会式。
チーム対抗バトルの表彰、個人の表彰と進み、塾スタッフからひとことずつメッセージを伝える。
みんな大きく頷きながら話に聴き入っていた。スタッフと生徒との距離も縮まったように思う。
そして、生田目が作成した合宿を振り返るムービーが流れる。
みんな大いに笑い、最後は感動していたようだった。
みんなで食べ、みんなで笑い、みんなで歌う。
とても良い時間だった。
弊塾は「自分に厳しく、真剣に勉強する」と「楽しく通える」の両立を常に考えている。
今回の合宿を企画・運営するにあたっても、その運営方針は変わらず、「思いっきり勉強した!」だけでなく「思いっきり楽しんだ!」と思ってもらえる合宿にしたかった。
まさに弊塾の理想とする運営が凝縮された合宿にできたと思う。
もちろん、このような合宿を運営できるのは、保護者の方々のご理解ご協力があってこそ。
改めて、今回の合宿に送り出していただいた保護者の皆様に感謝申し上げたい。
また、合宿前から献身的に支えてくれたスタッフにも感謝したい。
After the summer study camp
合宿の次の日。
ある生徒からLINEが来た。
合宿に行く前までは、正直めんどくさいとか不安とかマイナスの気持ちがあったけれど、実際に行ってみたら、とても楽しい合宿でした。(中略)勉強は嫌いだったけれど、合宿を通して少しでも勉強を楽しいと感じることができたと思います。来年の合宿も楽しみにしています。
こんなメッセージが書かれていた。
私も生田目も、改めて「合宿のために頑張ってきて良かった」と心から思える瞬間だった(○○さん、ありがとね)。
嬉しかったことがもう一つ。
合宿の最後の確認テストで思ったような点数が取れていない子たちの答案に、「合宿が終わったら一緒に復習を頑張ろう。」と私がひとこと添えておいた。
すると、その子たちが確認テストの解き直し、和訳をしたうえで「合っているかどうか見てください。」と持ってきた。
合宿が終わったから終わり、ではなく、テストの後始末をきちんとしているのが素晴らしいと感じた。
また翌日から自習に来た中1生もたくさんいた。
授業をしていても心なしか自信や積極性が見られる。
2泊3日の合宿での経験が、生徒たちの日々の勉強をより良い方向に導いてくれていると実感する。
祭りが終わったあとのような寂しさを感じるが、生徒たちにとっても私たちにとっても、得るものの多い夏期合宿となった。
この記事を書いた人
進学塾unitの塾長。数学・英語・理科担当。生徒と保護者、スタッフの笑顔を見るために日々邁進中。基本的にいつも機嫌が良く、無駄に元気。
趣味:将棋(将棋ウォーズ1級)、コーヒーを飲みながらカフェで数学、ダイエット 特技:リバウンド
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