がっぷり四つの個別指導

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先日、数学の補習を行った。

個別指導スタイルで彼らが問題を解いているのを間近で一つずつチェックする。

問題を解く上で必要不可欠な作業を行っているか。

計算の仕方は適切か。

すでに授業中に教えている知識をどの程度使いこなせているか。

そういうものを目の前で見ていると、本当に色々なことに気づく。


たとえば、問題文に「平行四辺形」と書いてある。

本人はその言葉にマルをつけているので、平行四辺形であるということは分かっている。

しかし「平行四辺形であるということから、どんなことが分かるか」という発想が出来ていない。

・2組の対辺が平行である
・2組の対辺が等しい
・対角線がそれぞれの中点で交わる

こういう知識が頭の中には入っているが、自力で引っ張り出せていない。


また、平行であるということから、

・錯角や同位角が等しい
・直線の傾きが等しい
・等積変形が使えるかも
・相似な図形ができる

といったことも引っ張り出せていない。


本人は一生懸命に問題文の情報を「見ている」。

しかし、そこから「だから何?どんなことが分かる?」という発想が出来ていない。

こういうことが原因となって、途中で行き詰まってしまっていることが分かった。


あるいは、計算ミスが出てしまう原因も見える。

計算によって答えが出る。

自分が出したその答えとビジュアルの照らし合わせが出来ていない。

見た目で妥当かどうかを確認していないから、自分の計算ミスに気づかないまま次に進んでしまう。


さらに「自分でも説明できないこと」を書いてしまっている。

論理の飛躍に気づかないまま話や計算を進めている。

本来、AならばB、BならばC、CよりDが求められて……のように思考を進めていく必要があるが、AならばB、のあとに急に(根拠なく)EなのでF……のように強引に話を進めてしまっている。

「なんでEだと言えるの?」と聞いても、本人は根拠なくそう思っているだけなので、もちろん答えられない。


非常に細かい話になってしまったが、こういうことの積み重ねによって、この子の数学の苦手が生まれているのだということに気づけて良かった。


もちろん、このようなことは普段の授業で口酸っぱく伝えている。

しかしその場で「ふ~ん、なるほど。」と思っても、実際にやろうとすると意外とできないというのが普通だと思う。

こういうところにメスを入れて、一つずつ修正できるのが個別指導の良さの一つだと思う。


気づいたら2時間、ビッチリ数学漬けになってもらった。

この記事では、この子たちの出来ていなかったことばかり書いてしまったが、実際には「あ~、ちゃんと授業中に教わったことをしっかり実行しているなぁ」と成長を感じるところもたくさんあった。

そもそも、こういうがっぷり四つで自分の弱点を補強する勉強ができているのは、本人たちに「何とかしないと!」という強い気持ち(危機感や意欲)があるからこそ。

彼らは自分の苦手を真正面から受け止め、一つずつ粘り強く取りくんでいる。

自分にとって苦手なことを頑張り抜くというのは、大変なことなのだ。

本当に偉いなぁと思っている。(と思いつつ、言っていることはスパルタだが苦笑)


彼らにとっても気づきの多い時間だったのではないかと思うし、私にとっても指導上のヒントをたくさん得られた2時間だった。

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